バイオメカニクス | WHO’S LAB |大阪電気通信大学研究室紹介サイト /whoslab/research-keyword/biomechanics/ WHO'S LABは、大阪電気通信大学の研究活動を発信する専用サイトです。 Tue, 02 Sep 2025 03:43:38 +0000 ja hourly 1 スポーツにおける「上手さ」の理由を突き止め解明! 科学的な根拠に基づく指導をめざす /whoslab/research/ichitani/ Tue, 04 Jun 2024 02:00:00 +0000 /whoslab/?post_type=research&p=9710 スポーツに上手・下手があるのは、誰もが知っていることです。しかし、上手な動作や運動を感覚的に分かっていても、その理由を客観的に説明することは難しいものです。市谷准教授は、バイオメカニクスからアスリートにアプローチし、特に […]

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スポーツに上手・下手があるのは、誰もが知っていることです。しかし、上手な動作や運動を感覚的に分かっていても、その理由を客観的に説明することは難しいものです。
市谷准教授は、バイオメカニクスからアスリートにアプローチし、特に筋活動に関わる事象に注目して「上手さの理由」を突き止め、指導につなげる研究に取り組んでいます。

オリンピック選手は使う筋肉がちがう!? 
研究の起点は、マット運動の前方倒立回転跳びの筋電図

スポーツ選手の動きを見て、その能力の違いを判定することはできるものなのでしょうか。経験者と初心者を比べる!というのであれば見分けがつくかもしれません。けれども、ある程度のキャリアを持った選手どうしの微妙な差を見分けるのは、その選手たち以上の技量を持った人以外には至難の業のように思われます。

市谷准教授は、体操選手が前方倒立回転跳び(以下、ハンドスプリング)をした際の筋電図を分析。競技成績によるカテゴリー別で比較することで、体操選手なら誰でもできる回転系の基本運動も、筋電図による解析では、それぞれの熟練度によって使用されている筋肉が異なるという結果を導き出しました。

ハンドスプリングの着手時における上腕部の筋において、最も熟練度が高いと考えられるオリンピックや世界選手権に出場した選手は上腕三頭筋長頭を主に使い、上腕二頭筋長頭はほぼ使っていません。これに対し、国内レベルにある選手は、上腕三頭筋長頭ではなく、上腕二頭筋長頭を主として使っていることが明らかになりました。

ハンドスプリングという腕の押上げで動作を行う同じ運動にもかかわらず、スキルが上がるほど上腕三頭筋長頭を使い上腕二頭筋長頭を使わない動作となることが分かったのです。

上腕二頭筋長頭と上腕三頭筋長頭のハンドスプリング着手時の放電比率

また筋電図だけでなく、ハイスピードカメラの映像による姿勢とフォースプレートから得られた床反力値、さらに出力方向を重ね合わせると、ハンドスプリングの着手時における出力方向は、肩と手首を結んだ線aと肘と手首を結んだ線bの間で行われており、出力方向がaに近づくにつれ上腕三頭筋長頭の比率が高くなることがわかりました。

この分析をきっかけに、筋活動の変化を姿勢と出力方向の違いから読み解き、一流選手ならではのトップレベルの技を解明し、一般の選手に落とし込むという市谷准教授の研究が始まりました。

筋電図にハイスピードカメラとフォースプレートの結果を重ね合わせた分析結果
上腕二頭筋長頭(Blo)と上腕三頭筋長頭(Tlo)の放電比率と着手時の姿勢や出力方向などがわかる.この研究結果から,一流の選手らが「指先」の感覚でと表現するこの運動のコツが,科学的な分析によって証明された.

バスケットで決まりやすいシュートとは!? 
ポイントは、肩と手首を結んだ線!

一般にスポーツ現場などでは、パフォーマンスを向上させるためのコツを指導する際、見本を見せながら「こんな感じ」とあいまいに表現されているのが実情です。「この筋肉を使って」「こちら側の筋肉をイメージして」と言いながら、実際にその筋肉をどう使う(収縮させる)のかは不明確で、中途半端な指導になっていることが多いのです。

市谷准教授は、このあいまいなコツや身体部位の活動を科学的にとらえ直し、分析しています。現在、新たな視点から分析しているのが、バスケットボールのシュート時の「姿勢とボールの投射角度」と「筋活動」の関係です。

研究では、姿勢に応じて変化をする「身体部位を結んだ線」を基本の出力方向として、その基本の出力方向に「投射方向(角度)」を当てはめてグループ化し、グループごとの筋活動を分析。その結果、バスケットボールのシュートは、他のスポーツ競技に多い「肩と手首を結んだ線(a線)」と「肘と手首を結んだ線(b線)」の範囲だけでなく、「肩と手首を結んだ線(a線)」と「肩と肘を結ぶ上腕と平行の線(f線)」の範囲という2つの範囲でシュートがなされていることを発見しました。また、ボールの軌跡(出力方向F)がa線から離れれば離れるほど、シュートが決まりにくくなること。さらに使用する筋肉という面からは、a-fの範囲では、肩関節に関与する三角筋前部と三角筋後部が徐々に活動比率を変化させており、a線に近づくにつれて三角筋前部が主として力を発揮することを科学的に明らかにしました。

選手のシュートフォームは各人で異なり、人の数だけシュートフォームが存在します。また特定の筋肉を意識してシュートすることは非常に難しく、シュートの姿勢によっても意識すべき筋肉は変わってきます。しかし、肩と手首とを結んだ線だけに意識を集中すると、その線上に向けての動作を行うことは容易となり、しかもその結果、おのずと特定の筋肉が活動することとなります。この理論は、理解しやすく再現性も高いため、効果的なパフォーマンス向上が期待されます。

市谷准教授は、本学バスケットボール部の監督・部長。研究成果が練習に反映されれば、本学バスケ部が強くなるだけでなく、バスケットボール界の指導法や練習法そのものが大きく変わる可能性があると考えています。

シュートの成功率を科学的に分析
基本出力方向を肩と手首を結んだa線, 上腕と平行となるf線をとした場合, ボールの軌跡Fが線aに近づくほどにシュートの成功率が上がる.

自分のフォームに最適な動きがわかれば
全ての子どもたちが金メダルをめざせる!

外側からは見えない筋肉の動きと動作分析を組み合わせることで、誰もが自分の体型に合ったフォームと最適な動作方法を知ることができます。つまり、最初から諦める必要はなくなり、誰もが金メダル(上達)をめざせるということ。
できる・できない、を超えて「わかる」の領域に踏み込むことで、アスリートの可能性はさらに広がっていきます。

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進化するスポーツ理学療法 効果が高く安全な手法の開発 /whoslab/research/kimura-y/ Thu, 14 Mar 2024 02:56:26 +0000 /whoslab/?post_type=research&p=8577 スポーツ外傷で整形外科での手術治療を受けた患者さんは、患部の状態に応じた運動療法や物理療法などのリハビリテーションを通じて機能回復とスポーツ復帰をめざします。木村教授は、スポーツ外傷の中でも膝関節を専門とし、アスリートの […]

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スポーツ外傷で整形外科での手術治療を受けた患者さんは、患部の状態に応じた運動療法や物理療法などのリハビリテーションを通じて機能回復とスポーツ復帰をめざします。
木村教授は、スポーツ外傷の中でも膝関節を専門とし、アスリートの機能回復はもちろん、高齢者の介護予防にも役立つ安全な運動療法の開発をめざしています。

走るときの衝撃を吸収する
膝関節の機能を評価する

走る動作は、歩いたり階段を昇ったりするのに比べて負荷が大きく、難しい動作とされています。衝撃が大きいうえに、足、膝、股それぞれの関節でその衝撃を受け止めてエネルギーに変える制御が必要だからです。

一方、脚の関節がもつ衝撃吸収・制御の機能を評価する方法はいまだ確立されていません。そのため、じん帯や半月板など膝関節を損傷した人が、走る動作を再開するタイミングは、衝撃吸収に必要な機能の回復レベルではなく、筋力やバランスなどの基準で判断されているのが現状です。

木村教授は、膝関節の衝撃吸収能力を評価する方法を研究し、走る動作の再開に向けた基準の確立を目指しています。その中で、片脚のつま先立ちから急激に脚を曲げた姿勢となるモディファイドドロップスクワットという独自の運動を開発。解析の結果、この運動で膝関節に加わる力は、走るときの膝関節の衝撃吸収とよく似ていることを明らかにしました。

さらに、評価法の検証を目的とした調査では、前十字じん帯の再建手術を受けた人を対象に動作解析を行い、モディファイドドロップスクワットでの膝の動きがスムーズにできないと、走る姿勢が非対称で不適切になることを明らかにしました。

モディファイドドロップスクワットは、実際に走るよりも安全に実施することができ、診察室などの狭い場所でも評価できるうえ、安全に膝関節の衝撃吸収機能をトレーニングできます。木村教授は、今後モディファイドドロップスクワットが「走る動作を再開する基準」として認められて普及していくために必要な、より多くのデータ収集と解析を進めています。

片脚のつま先立ちから脱力して急激に踵を地面に接地し,それと同時に膝を素早く曲げて衝撃を吸収する運動. まずは膝を曲げて衝撃を吸収する練習から始める.それが安定した後,膝を曲げた姿勢からすぐに膝を伸ばしてつま先立ちに戻るような連続的な運動を練習し,ランニングでの膝の屈伸に近づけていく.
ファイドドロップスクワット
モディファイドドロップスクワットの動きがスムーズにできるようになったら,次はリズム感よく衝撃吸収機能をトレーニングしてみよう!
三次元動作解析による膝関節の受ける床反力と衝撃吸収力
スクワット,モディファイドドロップスクワット,ランニング実施中の地面から受ける力(左図)と膝関節に働く力(右図)を解析した結果.スクワットには衝撃がなく膝関節に働く力も緩やかだが,モディファイドドロップスクワットはランニングに類似して足がつくと同時に,衝撃とともに膝関節周りに急激に力が働くことが分かる.しかし,その力の大きさはランニングより小さく,安全に膝関節の衝撃吸収能力の評価とトレーニングが可能と考えられる.

座ったままでこんなに効く!? 
目からウロコの筋力トレーニング法

また、スポーツ外傷・障害後のリハビリテーションや介護予防に向けて、安全で効果的な筋力トレーニング法の開発にも力を入れています。

その一つが、ハーフシッティングエクサイズです。木村研究室では、このエクササイズの一連の動きについて、3次元動作解析装置と筋電図によって分析。スクワットに比べ、膝関節に加わる不要な負荷は小さいにも関わらず、大腿四頭筋やハムストリングスの筋活動を増加させることを明らかにしました。このエクササイズは座ったまま運動できることから本質的に安全で、しかも「走れない」「満足に歩けない」といった状態の人でもトレーニングすることができます。このような安全性を担保しながら高い運動効果を得るハーフシッティングエクササイズは、ほかの運動に優れる特徴を持っているといえます。

木村研究室では、ハーフシッティングエクササイズのほかにも、幅広い年齢やニーズに応える安全な筋力トレーニングを開発中です。スポーツ選手のリハビリテーションだけでなく、高齢者の介護予防・健康増進など、社会のニーズに応える新しいトレーニング法の確立が期待されます。

フォワードハーフシッティング
トレーニングする脚(前方)のでん部(お尻)で座り,脚を前後に開いた姿勢をとる.前方の脚は,踵が浮かないように接地し,すねの骨は少し前に倒します.背中が丸くならないように,また体が側方に倒れないように真っ直ぐに維持しながら,体幹を前に倒す.この時,前方の脚の太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)に力が入ることを感じる.後方の脚は動画のように,太ももが床に向かって真っすぐになるような位置にし,足の親指と小指の付け根で踏ん張る.
バックワードハーフシッティング
トレーニングする脚(後方)の反対側のでん部(お尻)で座り,脚を前後に開いた姿勢をとる.後方の脚は,踵を浮かせて足の親指と小指の付け根で踏ん張る.やや背中が丸くなっても良いので,あごを引いておなかに力を入れながら,腰が反らないように体を後ろに倒す.このとき,方の脚の太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)に力が入ることを感じる.筋肉への負荷が強いので,体を倒す量は少しずつ増やしていく.

全世代型エクササイズで
健康寿命が延びる!?

ヒトの身体の仕組みや動き方を力学的に研究するバイオメカニクス。臨床での深い洞察とバイオメカニクスを掛け合わせた見地から編み出されるトレーニング法は、身体の機能回復やスポーツ外傷・障害の予防だけでなく、競技パフォーマンスアップや健康増進の領域での活躍も期待されます。
人生100年時代、誰にとっても安全で効果があり、シンプルな全世代型エクササイズのニーズは、今後ますます高まってくるはず。抵抗なく始められ、気軽に続けられるエクササイズの開発は、健康寿命延伸の強い味方といえそうです。

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