スポーツ理学療法 | WHO’S LAB |大阪電気通信大学研究室紹介サイト /whoslab/research-keyword/sports-physiotherapy/ WHO'S LABは、大阪電気通信大学の研究活動を発信する専用サイトです。 Wed, 02 Jul 2025 09:50:06 +0000 ja hourly 1 学童期を中心に 野球肘・野球肩を予防・治療 /whoslab/research/matsumoto_k/ Thu, 10 Oct 2024 04:30:00 +0000 /whoslab/?post_type=research&p=13778 松本光平特任講師は、理学療法士として投球障害(野球肘・野球肩)を治療してきました。投球の繰り返しで徐々に肘や肩の組織が傷み、痛みが発生する障害です。こうした臨床での経験から、投球障害の予防や安全な投球再開のためのエクササ […]

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松本光平特任講師は、理学療法士として投球障害(野球肘・野球肩)を治療してきました。投球の繰り返しで徐々に肘や肩の組織が傷み、痛みが発生する障害です。
こうした臨床での経験から、投球障害の予防や安全な投球再開のためのエクササイズやサポーター開発につながる研究を行っています。

「肘押しエクササイズ」の 
効果を検証

投球障害の要因は、過去の研究により、身体の機能や構造のほか投球フォームや投球数など様々な要素が絡み合っていることが明らかになっています。このうち身体の機能・構造面における主な原因として、肩関節後方(肩関節の後ろにある)軟部組織、具体的には筋肉、じん帯、関節を覆っている袋(関節包)などが柔軟性をなくし、肩の動きが悪くなることが知られています。肩の動きが悪くなることで、投球時に肩・肘に生じる負担が増加し、障害につながると言われています。

松本特任講師は理学療法士として、投球障害の治療に携わってきました。治療の一環で、肩関節後方軟部組織の柔軟性を維持するために推奨されているストレッチをしてもらう際、患者から「肩の前がつまる感じ」「窮屈な感じ」などの訴えが多く聞かれます。

その対応策が、ストレッチ前に行う「肘押しエクササイズ」です。これによって、即時的に肩関節を内向きにひねる内旋と呼ばれる動きがひろがったり、エクササイズ後のストレッチの痛みが軽減するなどの良い反応がありました。

肘押しエクササイズは、うつぶせになって肘をベッドに押し付ける簡単な運動です。効果があるなら多くの人に実践してもらいたいと、松本特任講師らの研究チームは効果の検証を始めました。

エクササイズ前後で肩関節後方軟部組織の柔軟性がどう変化するか、肩関節の可動域の測定によって評価。さらに、超音波画像診断装置で、実際に組織がどうなっているかを観察しました。その結果、患者が感じた肩関節の内旋における可動域の広がりが測定数値で実証され、肩甲骨の動きがよくなっていることなどもわかりました。

肘押しエクササイズの方法 
①うつぶせになり,手のひらをお腹の下に入れる ②肘で床を押し付けながら,お腹を手のひらで押すように力を入れる ③力は5秒間入れて,その後しっかり脱力する ④10回3セット繰り返す
肘押しエクササイズの即時効果 
肩の後ろの組織の柔軟性の指標の一つである,肩を内側にひねる(肩内旋)可動域をエクササイズ前後で計測. 結果,運動前と比較して運動後で有意に内旋可動域の拡大を認めた.
肘押しエクササイズ中の肩甲骨の動き
エクササイズを繰り返し行うことで,肩甲骨の動きが増加していることが認められた.肘押しエクササイズは肩関節だけでなく,肩甲骨運動の改善にも効果が期待できる可能性が示唆された.

学童期の投球障害を 
予防する研究へ

このエクササイズは、筋肉に力を入れると反対側の筋肉が緩む「相反抑制」という反射を利用し、肩を外側にひねる筋肉を緩めます。関節まわりの筋肉を大きく動かすストレッチと違って、大きな関節運動を必要としないため、痛みが少ないのがメリット。投球障害の予防はもちろん、すでに痛みが出ている人が安全に復帰をめざすために行うエクササイズとしても適しています。

松本特任講師は、特に、学童期の投球障害の予防・治療に関心を持っています。投球障害の発生頻度は学童期から高く、4人に1人程度の頻度で投球障害が発生しているという報告もあります。筋力や身体の使い方が未熟なために腕の力だけで投げるなど投球フォームが乱れやすく、肘の痛みにつながるケースも。また、成長期は骨や軟骨が発達途中であり、筋肉や靭帯よりも弱いため、骨や関節に障害が生じ、日常生活に支障が出ることもあり得ます。

今後は、肘押しエクササイズの効果をさらに詳細に評価するとともに、学童期に起こりやすい肘の投球障害を予防するサポーターの研究にも着手。パフォーマンスと障害予防効果を両立させる装具をめざし、開発を続けています。

「ケガがつきもの」
と言わせないスポーツへ!

野球が好きなのに痛みで球が投げられず、野球ができないのはとても辛いこと。松本特任講師の研究モチベーションは、投球障害の発生率を下げ、この辛さを味わう子どもを1人でも減らしたい!という想いです。
スポーツ障害やスポーツ理学療法の研究は、治療法や予防法の進化はもちろん、子どもも大人も年齢や個性に応じてより安全にスポーツを楽しめる社会づくりにつながります。「ケガがつきもの」ではなくなる世界は、意外に近いのかもしれません。

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進化するスポーツ理学療法 効果が高く安全な手法の開発 /whoslab/research/kimura-y/ Thu, 14 Mar 2024 02:56:26 +0000 /whoslab/?post_type=research&p=8577 スポーツ外傷で整形外科での手術治療を受けた患者さんは、患部の状態に応じた運動療法や物理療法などのリハビリテーションを通じて機能回復とスポーツ復帰をめざします。木村教授は、スポーツ外傷の中でも膝関節を専門とし、アスリートの […]

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スポーツ外傷で整形外科での手術治療を受けた患者さんは、患部の状態に応じた運動療法や物理療法などのリハビリテーションを通じて機能回復とスポーツ復帰をめざします。
木村教授は、スポーツ外傷の中でも膝関節を専門とし、アスリートの機能回復はもちろん、高齢者の介護予防にも役立つ安全な運動療法の開発をめざしています。

走るときの衝撃を吸収する
膝関節の機能を評価する

走る動作は、歩いたり階段を昇ったりするのに比べて負荷が大きく、難しい動作とされています。衝撃が大きいうえに、足、膝、股それぞれの関節でその衝撃を受け止めてエネルギーに変える制御が必要だからです。

一方、脚の関節がもつ衝撃吸収・制御の機能を評価する方法はいまだ確立されていません。そのため、じん帯や半月板など膝関節を損傷した人が、走る動作を再開するタイミングは、衝撃吸収に必要な機能の回復レベルではなく、筋力やバランスなどの基準で判断されているのが現状です。

木村教授は、膝関節の衝撃吸収能力を評価する方法を研究し、走る動作の再開に向けた基準の確立を目指しています。その中で、片脚のつま先立ちから急激に脚を曲げた姿勢となるモディファイドドロップスクワットという独自の運動を開発。解析の結果、この運動で膝関節に加わる力は、走るときの膝関節の衝撃吸収とよく似ていることを明らかにしました。

さらに、評価法の検証を目的とした調査では、前十字じん帯の再建手術を受けた人を対象に動作解析を行い、モディファイドドロップスクワットでの膝の動きがスムーズにできないと、走る姿勢が非対称で不適切になることを明らかにしました。

モディファイドドロップスクワットは、実際に走るよりも安全に実施することができ、診察室などの狭い場所でも評価できるうえ、安全に膝関節の衝撃吸収機能をトレーニングできます。木村教授は、今後モディファイドドロップスクワットが「走る動作を再開する基準」として認められて普及していくために必要な、より多くのデータ収集と解析を進めています。

片脚のつま先立ちから脱力して急激に踵を地面に接地し,それと同時に膝を素早く曲げて衝撃を吸収する運動. まずは膝を曲げて衝撃を吸収する練習から始める.それが安定した後,膝を曲げた姿勢からすぐに膝を伸ばしてつま先立ちに戻るような連続的な運動を練習し,ランニングでの膝の屈伸に近づけていく.
ファイドドロップスクワット
モディファイドドロップスクワットの動きがスムーズにできるようになったら,次はリズム感よく衝撃吸収機能をトレーニングしてみよう!
三次元動作解析による膝関節の受ける床反力と衝撃吸収力
スクワット,モディファイドドロップスクワット,ランニング実施中の地面から受ける力(左図)と膝関節に働く力(右図)を解析した結果.スクワットには衝撃がなく膝関節に働く力も緩やかだが,モディファイドドロップスクワットはランニングに類似して足がつくと同時に,衝撃とともに膝関節周りに急激に力が働くことが分かる.しかし,その力の大きさはランニングより小さく,安全に膝関節の衝撃吸収能力の評価とトレーニングが可能と考えられる.

座ったままでこんなに効く!? 
目からウロコの筋力トレーニング法

また、スポーツ外傷・障害後のリハビリテーションや介護予防に向けて、安全で効果的な筋力トレーニング法の開発にも力を入れています。

その一つが、ハーフシッティングエクサイズです。木村研究室では、このエクササイズの一連の動きについて、3次元動作解析装置と筋電図によって分析。スクワットに比べ、膝関節に加わる不要な負荷は小さいにも関わらず、大腿四頭筋やハムストリングスの筋活動を増加させることを明らかにしました。このエクササイズは座ったまま運動できることから本質的に安全で、しかも「走れない」「満足に歩けない」といった状態の人でもトレーニングすることができます。このような安全性を担保しながら高い運動効果を得るハーフシッティングエクササイズは、ほかの運動に優れる特徴を持っているといえます。

木村研究室では、ハーフシッティングエクササイズのほかにも、幅広い年齢やニーズに応える安全な筋力トレーニングを開発中です。スポーツ選手のリハビリテーションだけでなく、高齢者の介護予防・健康増進など、社会のニーズに応える新しいトレーニング法の確立が期待されます。

フォワードハーフシッティング
トレーニングする脚(前方)のでん部(お尻)で座り,脚を前後に開いた姿勢をとる.前方の脚は,踵が浮かないように接地し,すねの骨は少し前に倒します.背中が丸くならないように,また体が側方に倒れないように真っ直ぐに維持しながら,体幹を前に倒す.この時,前方の脚の太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)に力が入ることを感じる.後方の脚は動画のように,太ももが床に向かって真っすぐになるような位置にし,足の親指と小指の付け根で踏ん張る.
バックワードハーフシッティング
トレーニングする脚(後方)の反対側のでん部(お尻)で座り,脚を前後に開いた姿勢をとる.後方の脚は,踵を浮かせて足の親指と小指の付け根で踏ん張る.やや背中が丸くなっても良いので,あごを引いておなかに力を入れながら,腰が反らないように体を後ろに倒す.このとき,方の脚の太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)に力が入ることを感じる.筋肉への負荷が強いので,体を倒す量は少しずつ増やしていく.

全世代型エクササイズで
健康寿命が延びる!?

ヒトの身体の仕組みや動き方を力学的に研究するバイオメカニクス。臨床での深い洞察とバイオメカニクスを掛け合わせた見地から編み出されるトレーニング法は、身体の機能回復やスポーツ外傷・障害の予防だけでなく、競技パフォーマンスアップや健康増進の領域での活躍も期待されます。
人生100年時代、誰にとっても安全で効果があり、シンプルな全世代型エクササイズのニーズは、今後ますます高まってくるはず。抵抗なく始められ、気軽に続けられるエクササイズの開発は、健康寿命延伸の強い味方といえそうです。

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