翻訳 | WHO’S LAB |大阪電気通信大学研究室紹介サイト /whoslab/research-keyword/translation/ WHO'S LABは、大阪電気通信大学の研究活動を発信する専用サイトです。 Mon, 25 Nov 2024 01:28:56 +0000 ja hourly 1 先人の影響を受け、後進に影響を与える作家たち 文学をより深く味わうために細部に注目 /whoslab/research/sugimura-hiroko/ Thu, 30 May 2024 06:40:41 +0000 /whoslab/?post_type=research&p=11606 文学作品には、単にストーリーの面白さを味わうだけでなく、歴史的な背景、その時代の文化や暮らしについて知り、情景を想像し思いを馳せるなど様々な楽しみ方があります。杉村教授は、19世紀の女性作家・ブロンテ姉妹の研究を通じて、 […]

The post <strong>先人の影響を受け、後進に影響を与える作家たち </strong><br><strong>文学をより深く味わうために細部に注目</strong> appeared first on WHO’S LAB |大阪電気通信大学研究室紹介サイト.

]]>
文学作品には、単にストーリーの面白さを味わうだけでなく、歴史的な背景、その時代の文化や暮らしについて知り、情景を想像し思いを馳せるなど様々な楽しみ方があります。
杉村教授は、19世紀の女性作家・ブロンテ姉妹の研究を通じて、1つの作品が以後の作品に与える影響や語りの技巧、翻訳のあり方(言葉が与える影響や言葉が持つ意味の変化)など、様々なアプローチで文学の研究を続けています。

『ジェーン・エア』と『赤毛のアン』
世紀をまたいだ2作品の関係とは?

『ジェーン・エア』は1847年にイリギスで発表された小説で、作者はシャーロット・ブロンテです。孤児ジェーンが教育を受け、やがて住み込みの家庭教師として雇われ、その家の主人と階級差を乗り越えて結ばれるまでを描く小説で、当時の社会に大きな反響を巻き起こしました。

この小説から60年以上を経て、1908年にカナダでルーシー・モード・モンゴメリによって発表された小説が『赤毛のアン』で、孤児アンが養父母に引き取られ、大学に進学後、校長となり、やがて結婚、母となる物語が綴られていくシリーズ化された作品の第一作目です。

ある文学テクストと先行するテクストの関係の有り様を「間テクスト性」と呼びますが、杉村教授はこの観点から『ジェーン・エア』と『赤毛のアン』との関係の深層を探っています。ジェーンもアンも当時の女性の常識を打ち破る行動や考え方を持ち、両作品ともに「ビルドゥングスロマン」と呼ばれる精神的成長をたどるプロットでありながら、作者が良きものと肯定していると考えられる主人公の本質は変わらないことなどの共通点があります。またブロンテは『ジェーン・エア』の出版当初、性別がわかりにくいカラー・ベルと名乗っていたことから、当時の女性作家への偏見や女性一般の生きづらさが察せられ、杉村教授はモンゴメリが愛読書『ジェーン・エア』のうちにその思いを感じ取っていたのかもしれないと指摘しています。

ハワースにはブロンテ姉妹が暮らしていた牧師館がBrontë Parsonage Museum(ブロンテ牧師博物館)として残っており,その裏手には『嵐が丘』の最後の風景を思わせるのどかな風景が広がる.パブ『The Black Bull』は,シャーロットの弟ブランウェルが飲んだくれていた場所.(写真撮影・提供:杉村教授)

緻密に練り上げられた『嵐が丘』
時代によって変化する言葉の意味

シャーロット・ブロンテの妹であるエミリー・ブロンテの唯一の長編小説『嵐が丘』は、2つの屋敷で起きる愛と復讐の物語で、発表当時は非道徳的で不気味だと評されました。しかし、20世紀に入ると、高く評価されるようになります。

杉村教授は『嵐が丘』の物語を魅力的に展開する語りの技巧に注目しています。『嵐が丘』では家政婦ネリーが「嵐が丘」という屋敷にまつわる過去を語り、都会からやってきた青年がその話を聞き、日記に書き記すという形式が取られています。「信頼できない語り手」とも言われるネリーによる一人称の語りはときに事実に歪みをもたらしている可能性がある一方で、ネリーによって語りの技法である“showing”(情景)と“telling”(要約)が巧みに使い分けられているため、登場人物の間に吹き荒ぶ心理的な「嵐」が強く印象づけられています。

また原作とつきあわせて翻訳を注意深く読むことで気がつくことがあります。たとえば、「嵐が丘」屋敷の入り口上部に施された彫刻は“grotesque”という言葉で表現されています。屋敷が建てられた1500年という年代に照らせば、この言葉は奇妙な形をした人や動・植物をモチーフとした装飾紋様を指すと考えられますが、『嵐が丘』は1801年を起点とする物語です。さらに今日では“grotesque”といえば専ら「怪奇な」と理解されるように、この言葉は時代とともに意味が拡張していったため、杉村教授はときに文学作品には的確な翻訳の難しさが伴うことを指摘しています。

Zamperini, A (2008) Ornament and the Grotesque (p.101)に拠るグロテスク模様の一例.“grotesque”という言葉はイタリア語の“grotto”(洞窟の意)に由来する.15世紀後半に洞窟の遺跡で発見された宮殿ドムス・アウレアに施された装飾模様がグロテスクと呼ばれるようになった.

教育に資する文学、思考力の涵養

文学作品を理解する過程において、例えば、読者は次々と与えられる情報を基に文脈を構築したり、物語世界に浸りつつも、自らの理解や解釈を客観的かつ論理的に検証したりと、実にさまざまな高次の思考を働かせています。
杉村教授は、文学を通じて思考力を高める教育についても研究しています。

The post <strong>先人の影響を受け、後進に影響を与える作家たち </strong><br><strong>文学をより深く味わうために細部に注目</strong> appeared first on WHO’S LAB |大阪電気通信大学研究室紹介サイト.

]]>
なぜ人は通訳・翻訳ができるのか!?  意図を読み取り変換するメカニズムを研究 /whoslab/research/minamitsu/ Wed, 10 May 2023 02:00:00 +0000 /whoslab/?post_type=research&p=11973 通訳・翻訳は、伝える側のメッセージを理解し受け取る側が正しく理解できるように変換することです。南津准教授は、人が通訳・翻訳時に行う処理のプロセスを言語学、言語心理学などの理論を使って分析。また、その成果を大学の授業に取り […]

The post <strong>なぜ人は通訳・翻訳ができるのか!?  </strong><br><strong>意図を読み取り変換するメカニズムを研究</strong> appeared first on WHO’S LAB |大阪電気通信大学研究室紹介サイト.

]]>
通訳・翻訳は、伝える側のメッセージを理解し受け取る側が正しく理解できるように変換することです。
南津准教授は、人が通訳・翻訳時に行う処理のプロセスを言語学、言語心理学などの理論を使って分析。また、その成果を大学の授業に取り入れて教育効果を探る実証的な研究も行っています。

言葉を理解し発信できる能力
「メタ表示」能力に着目

通訳がいかに難しいかを示す伝説的なエピソードがあります。日米首脳会談で、日本の首相が言った「善処します」という発言が、通訳によってアメリカ側に「実現するよう検討する」という意味に伝わりました。当時の日本の政治用語では「善処する」は何もしないという意味で、約束を守らない日本にアメリカが激怒したというエピソード。

通訳・翻訳では、単語の意味や文法の正しい理解だけでなく、言葉の背後にある経緯、状況、社会的・文化的背景などの理解が重要です。これらは文脈という言い方でまとめることができますが、通訳・翻訳者は言葉が発せられた文脈に沿って話し手・書き手が伝えたいメッセージを推測し、聞き手・読み手に意図が伝わるよう変換して伝えます。

南津准教授は、この通訳・翻訳のプロセスを、ヒトが言葉を理解し発信するときに使うとされる、ヒト固有の「メタ言語能力」に着目して解明しようとしています。メタ言語能力とは、人が話したことからその意図を理解したり、自分の言葉の使い方を客観的に分析でき、駆使できる能力のこと。まさに通訳・翻訳者が駆使している能力そのものと言えます。通訳者としての経験を持つ南津准教授は、言語学や英語教育の研究者や文章表現のプロである記者など多彩なメンバーと共に共同研究も行っており、その成果が期待されます。

通訳ではどうしても言語の能力が注目されがち.ただ実のところ,文脈や知識,対人-調整力の方も同じように重要になる.

映画「タイタニック」は
文脈を読み取る格好の教材

また、メタ言語能力を伸ばすための教育にも取り組んでいます。

たとえば、授業の中で映画など映像素材に字幕をつけるという演習。会話している人物の表情はもちろん、会話の間や映像など言葉以外の情報も、翻訳の重要なヒントになります。映画「タイタニック」の氷の海に投げ出され死を予感しながら恋人に愛を伝えるシーンを教材に、登場人物の気持ちを的確に伝えられる訳語について議論。

ほかにも、海外のトーク番組などを教材に、相手に会わせて言葉遣いを変えているシーンの翻訳を通じ、ニュアンスの違いが伝わる単語の選び方について学ぶこともあります。

映像を通じて豊富な用例に触れながら、文脈を理解した上でそれに合った訳語に落とし込む能力をトレーニングしてゆく。こうした教育の実践によって学生の翻訳能力にどのような変化があるのかを分析し、メタ言語能力の実証研究にもつなげています。

講義では映画の登場人物の訳語を発表
登場人物の気持ちをどのように言葉で表現するかが問われる.

通訳・翻訳教育で
コミュニケーション力を育てる

メタ言語能力は、コミュニケーションのカギを握る能力です。言葉そのものを理解しても、相手の意図を推測できなければコミュニケーションは成り立ちません。
こうした考え方から、近年、専門職の養成のためではなく、語学教育としての通訳・翻訳教育が注目されています。意図や思いを伝え、理解することに重点を置いた語学教育によって、対話やコミュニケーションに長けた人が育てば、地球レベルの課題解決にも発展が望めそうです。

The post <strong>なぜ人は通訳・翻訳ができるのか!?  </strong><br><strong>意図を読み取り変換するメカニズムを研究</strong> appeared first on WHO’S LAB |大阪電気通信大学研究室紹介サイト.

]]>